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建材会社の株式譲渡と事業譲渡はどう違うか

2026 9/20
コラム
2026年6月13日2026年9月20日
建材会社の譲渡前資料を整理する様子

建材会社の株式譲渡は、株主が株式を売却し、会社の所有者が変わる方法です。事業譲渡は、会社が営む事業の全部または一部を、対象となる資産や契約等を定めて他社へ移す方法です。大きな違いは、取引や雇用の当事者である会社がそのまま残るか、別の会社へ移す手続きが必要かにあります。

建材卸、メーカー、加工・施工会社では、価格だけでなく、メーカー口座、従業員、倉庫、許認可をどう継続するかで選択肢を比較します。本記事は一般的な説明であり、個別の法律・税務上の助言ではありません。

目次

株式譲渡と事業譲渡の違いを比較

以下は対象会社が株式会社である場合の基本的な整理です。契約条項、譲渡対象、適用法令によって必要な承諾や手続きは変わります。

比較項目株式譲渡事業譲渡
譲渡するもの株主が保有する株式。会社自体は存続します。合意した事業の全部または一部。資産・契約等の対象を定めます。
対価の受取者株式を売却した株主です。事業を譲渡した会社です。代金がそのまま経営者個人の資金になるわけではありません。
取引契約契約当事者は同じ会社です。ただし、支配権変更時の承諾・通知条項などを確認します。契約上の地位を移す場合、相手方の承諾などを個別に確認します。
雇用雇用主は変わらず、労働契約は原則そのまま存続します。労働契約の承継には、対象となる労働者本人の真意による承諾が必要です。
債務・保証会社の債務は同じ会社に残ります。株式の売却だけで経営者保証が外れるわけではありません。承継対象を定め、債権者の承諾等を確認します。対象外の債務が当然に消えるわけではありません。
許認可保有する法人は変わりませんが、役員変更等の届出や許可要件の維持を確認します。制度ごとに承継認可・届出・新規取得等を確認します。すべてが自動承継されるわけではありません。

株式譲渡では、過去の取引に伴う未払債務や紛争等も会社に残るため、買い手による調査が重要です。事業譲渡も、商号の続用などにより買い手に責任が生じる場合があり、契約上の対象選びだけで責任の範囲を判断できません。

建材会社で先に確認したい4つのこと

1.メーカー口座・代理店契約・仕入条件

契約書、覚書、取引条件表を集め、名義、譲渡制限、支配権変更条項を確認します。口座が続いても、与信枠、掛率、リベート、指定店資格まで同条件で継続するとは限りません。誰に、どの段階で確認するかを整理し、供給が途切れた場合の影響も見積もります。

2.在庫・売掛金・倉庫・配送車両

品番別の数量と評価額に加え、滞留品、廃番品、返品可能品、預かり品を区別します。事業譲渡では、譲渡日に動く受注、納品、請求、入金をどちらの会社が処理するかを決めます。倉庫の賃貸借や車両リースは、所有物と同じ扱いで移せると考えず、契約ごとに確認します。

3.営業・配送・加工を支える従業員

担当者と顧客の関係、早朝配送、加工機の操作、現場採寸などを業務単位で整理します。事業譲渡では、承継先の業務や労働条件を十分に説明し、本人が判断できる時間を確保します。株式譲渡でも、処遇や配置の方針を曖昧にしたままでは人材の定着につながりません。

4.施工・製造に必要な許認可と保証対応

施工を伴う会社は建設業許可、資格者の配置、進行中の工事を確認します。建設業には事前認可による承継制度がありますが、適用条件や日程の確認が必要です。メーカーでは製品認証、検査記録、販売済み製品の補修窓口も整理し、譲渡後に誰が対応するかを契約と実務の両面で決めます。

方法を決めるまでの順序

  1. 残したいものを決める。全社を引き継ぎたいのか、一部門だけ譲りたいのか、雇用・拠点・屋号などの優先順位を整理します。
  2. 継続条件を調べる。主要契約、借入・保証、許認可、人員を一覧にし、承諾が必要な相手と手続期間を確認します。
  3. 双方の負担を比較する。提示額だけでなく、税金、外部費用、残る債務、会社と株主それぞれの手元資金を専門家と試算します。
  4. 実行条件を契約へ反映する。必要な承諾、保証解除、従業員への説明、在庫確定、決済までの役割と期限を明確にします。

会社全体の継続を重視する場合は株式譲渡、一部事業を切り出す場合は事業譲渡が検討の出発点になります。ただし、買い手の希望だけでなく、取引や現場を実際に引き継げるかを確かめて判断します。同業への譲渡を考える方は、同業買収で建材会社が選ばれる理由と注意点もご覧ください。

方法が決まっていなくても、事業の範囲や引き継ぎたい条件から整理できます。建材会社の売却・事業承継を相談する

参照資料

  • 中小企業庁:2018年版中小企業白書「M&Aの現状と実態」(手法の基本的な違い)
  • 中小企業庁:中小M&Aガイドライン参考資料(契約書サンプル等)
  • 中小企業庁:M&Aに関するトラブルにご注意ください(経営者保証・対価の支払い)
  • e-Gov法令検索:会社法(第22条・商号を続用する場合の責任等)
  • 厚生労働省:企業組織の再編に伴う労使関係について(事業譲渡等指針・労働契約の承継)
  • 国土交通省:承継のスキームについて(建設業許可の承継)

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